解体工事で起こりうるトラブル例!回避のための対策もご紹介

ノウハウ
崩れたブロック塀

解体工事ではトラブルはよく起こります。作業員が密集している住宅の中で重機を動かして作業を行うので、トラブルが起こりやすいのが現実です。

それ以外の理由として考えられるのは、解体工事の許可さえ取得できればどの会社でも工事は請け負うことができ、ましてや、作業員は経験が無くても現場で仕事ができるという点もトラブルがよく起こる理由だと考えられます。

ここでは、解体工事でよく起こるトラブル例と発注者がトラブルを未然に防ぐためにできる対策もご紹介しています。

監修者

丹野建設工業株式会社 代表取締役 丹野 亮

丹野 亮

丹野建設工業株式会社 代表取締役

これまで10年以上にわたり解体工事に携わってきました。 「早い・安い・キレイ」をモットーに、20代・30代の若い力で丁寧かつスピーディーな施工を行っています。 安全第一はもちろん、騒音・粉じん・振動などにも配慮し、近隣住民の方々へのご迷惑を最小限に抑える工事を心がけています。

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解体工事前に起こりうるトラブル

解体業者と契約後、解体工事が始まる前のトラブルをご紹介します。

アスベスト調査・報告がされていない

解体をする際は、アスベスト調査、報告は義務付けられています。解体業者にアスベスト調査も依頼した場合は、業者が解体前に現地調査を行い、アスベストの調査をする必要があります。そして調査結果を自治体や施主に報告する義務があります。

解体業者は、施主がそういったことを分かっていないことを知ると省くトラブルが発生します。万が一アスベストが存在し、飛散させたとなると施主にも責任を問われる場合があるのでご注意ください。

解体に伴う許可・申請を行っていない

解体工事を行うためには、「建設業許可」、もしくは、「解体工事業登録」が必要です。これらは、契約書などに基本明記されています。

ただ、契約書に明記されていない場合で、気づかずにその業者と契約してしまった場合は、違法解体になってしまい、施主にも思わぬトラブルに巻き込まれてしまうことがあります。

また、明記されていても許可や登録には期限がありますので、期限切れでは意味をなしません。ですので、各自治体の解体工事業者登録一覧で確かめたり、建設業許可は、「国土交通省 | 建設業者 検索」で確かめてください。

工事費用の一括前払いの請求

工事費用の一括前払いをかたくなに請求してくるときは気を付けてください。何かしらの理由をつけて全額前払いを求めてくるは何かその後のトラブルに巻き込まれる可能性があります。

考えられるトラブルとしては、契約不履行で逃げられるトラブル、追加費用の請求トラブルなどが考えられます。

費用の一括前払いの請求自体がトラブルではありませんが、トラブルに巻き込まれる可能性が高いので気を付けてください。

ただし、解体費用が少額の場合は、前払いの一括請求は一般的です。

考え方として、業者が人件費や重機のリース・レンタル代の持ち出し分を先に手付金として請求してくるものとして考えてください。業者としても施主の支払いが遅延したり、支払われないことがあると損失が大きくなってしまうので前払いで実費分は請求するものです。

解体工事中に起こりうるトラブル

次は、実際に工事が始まってからよくおこるトラブル例です。

現場で許認可の掲示を怠っている

現場では建設業許可や解体工事業登録の掲示をしなければなりません。それを怠っていると工事中止に見舞われる可能性があります。また、掲示していないということは、可能性として許認可が無い場合も考えられます。

その他には、「道路使用許可」を警察署に申請しなければなりません。それを現場で掲示しておく必要があります。これも掲示が無いということは、使用許可を取っていないことが考えられ、工事を中断せざるを得ない場合があります。

損害賠償保険に加入していないことが発覚する

工事中は何かと近隣とのトラブルが発生しやすいものです。その時に業者が保険に加入していることで穏便に済ませることができます。

もし、加入していなかった場合は、業者が責任を負えずに施主に責任が降りかかってくるケースがあります。契約書では保険に加入していると記載があっても、事故が起きたときに実は保険に加入していなかったと発覚することもあります。

その場合でも解体業者の責任ですが、スムーズに賠償できずにトラブルに巻き込まれてしまいます。保険に加入していると契約書に書いている場合でも保険会社名と保険番号も合わせて契約書に明記してもらいましょう。その保険番号で事前に加入しているかの確認を取っておくようにしましょう。

騒音・振動が基準値を超えてクレームが発生する

解体工事中に騒音レベルは、騒音規制法で85デジベル以下と定められています。
参考:「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準の一部改正について

この基準を超えた騒音が度々起きていることで近隣からのクレームが発生するトラブルがあります。この基準以下であっても近隣からするとうるさいものです。クレームを言われることは多々発生します。

普段の生活を脅かされているとして訴訟を起こされるケースもあります。

クレームを言われた際の業者の対応次第ではトラブルが大きくなることもあるので業者の対応力は重要です。

解体現場の周辺にゴミが散乱する

解体現場では、作業中はもちろん、1日の作業後に周りの掃除などを行うことが通常です。それを怠り、現場周辺に解体中に出たごみや、作業員の飲み食いのゴミが散乱することがあります。

これによって近隣とのトラブルに発展することがあるので、業者との契約時に清掃についても明記してもらっておきましょう。

解体業者の作業員のマナーが悪い

業者に作業員のマナーの悪さで近隣とのトラブルに発展するケースもあります。

挨拶をしない、睨んでくる、大きな声でしゃべっている、路上で作業員が座って邪魔になっているなど、作業員が原因でクレームが入る恐れがあります。

もし、近隣の人の目につくようなことが耳に入れば業者と話し合って改善してもらいましょう。

隣家を傷つけた

重機を動かしたり、大きなトラックの出入り、解体ですので石の破片が飛び散ることで、隣家を傷つけてしまうことがあります。

解体の対象物の周りには養生を設置していますが、それでも完璧に防げるとは言えません。また、重機の操作を誤ったり、重機の移動、トラックの移動の際に隣家の乗用車と接触してしまうこともあります。

損害賠償責任保険に加入しているとはいえ、ぶつけられた方が心地いいものではありません。保険でカバーしたとしても業者にはなるべく回避してもらえるよう伝えておきましょう。

解体業者都合によるスケジュールの勝手な変更

解体業者都合によって勝手に工期を変更するトラブルも考えられます。基本的には、契約書に変更の際は、書面で知らせて、その上で協議するものと定められているものですが、それでも勝手に変更してくることもあります。

解体後のスケジュールは定まっているのに、解体が勝手に延期されては予定を変更せざるを得なくなります。業者とのコミュニケーションは解体中でも取っておきましょう。

解体工事後に起こりうるトラブル

解体工事後にもトラブルは起こります。

マニフェストを交付されない

マニフェストとは、産業廃棄物管理票とも呼ばれています。解体で出た廃棄物が適切に処理されるか流れを記録する書類です。廃棄物運搬から処理場へとしっかりと受け渡されたかを追うことのできる書類です。解体業者はマニフェストを交付する義務があり、解体後に施主はマニフェストを確認して廃棄物が処理場まで運ばれたかを確認する必要があります。

マニフェストが無ければ不法投棄の可能性も否めません。交付されないトラブルも事前に想定して業者とはコミュニケーションを取っておきましょう。契約書にも明記されているか確認しましょう。

整地が十分ではない

解体が完了した報告を受け、マニフェストも確認して終了したかと思い現場に赴くと整地済みとは思えない跡地だったというトラブルもあります。

不動産屋に土地を引き渡す契約を交わしている場合、このままでは引き渡せない状況に。再度整地を別の業者に依頼する羽目になってしまいます。

評判の良くない業者に当たった場合によくおこりうるトラブルですので気を付けましょう。

聞いていない追加費用を請求される

解体工事後に聞いていない追加費用を請求されるトラブルがあります。整地も済んだあとで、「地中に処理物が見つかったので処理しておきました。」と言って、地中に埋められている処理物の写真を見せられ追加費用を請求してきます。

本当に処理物が存在していたかは定かではありません。業者が地中に埋めるケースもあります。

追加費用については、発見された時点で対応を協議するよう契約書に明記しておくべきです。

不法投棄が確認される

解体後、廃棄物を運搬業者に委託し、処理場で処理してもらいます。業者は、運搬、処理の費用を抑えるために、不法投棄するトラブルがあります。通報を受けて施主に連絡がくるかもしれません。

この場合は、土地を誰かに引き渡し後に処理物が埋まっているとして費用を請求されかねません。

トラブル回避のための対策

では、トラブルをなるべく回避するためにはどうすればいいのでしょうか。その対策を4つご紹介します。

契約書にトラブルになりうるであろう項目が明記されているか確認する

契約書に事細かくトラブルになりそうなことを明記してもらってください。近隣への対応やクレームがあったときに対応策。マニフェストの交付はもちろんのこと、運搬業者、処理場はどこかなども記してもらいましょう。

ここで挙げたトラブルについて細かく明記されているかを確認することが重要です。

近隣への挨拶は自分でもする

次に、近隣への挨拶はご自身でも行ってください。人として迷惑をかけることをお詫びしに行きましょう。信頼関係があれば多少の騒音があったときに大事にならずに済ませてくれるかもしれません。

また、挨拶に行った際に、解体業者への不満やマナーなどが目に付いたときは直接知らせてもらうよう伝えておきましょう。そうすることで、業者を近隣の人が監視してくれることになるのでいち早く業者に対応を改めるよう相談することができます。

現地に足を運べる場合は、工事中に現地に赴く

現場が他県で遠方の場合は足を運ぶことは難しいかもしれませんが、足を運べる範囲であればなるべく現場に行ってください。現場の作業員は施主であることは知らないでしょう。日々の作業の雰囲気を感じられます。

ゴミが散乱していないか、騒音はひどくないかなど直接現場を確認しておくことでトラブルを未然に防げるかもしれません。近隣の人にも工事中のことを聞いて回るのも良いでしょう。

また、地中には何も埋まっていなかったかなども現場の作業員に確認してもいいでしょう。

支払いが前払いの一括払いには気を付ける

契約前に支払い方法を確認して、費用の前払い一括払いには気を付けてください。一括ではなくても、例えば8割前払いなど多額を前払いさせる契約は気を付けてください。

多額を前払いさせる理由で考えられえるのは、業者の業績が良くなく資金繰りが悪いことや入金されたら工事もせずに契約不履行で逃げられたり、追加費用を求めてくることなどが考えられます。

解体費用が少額の場合は、一括前払いを求められるケースはありますが、金額が大きい解体工事で一括前払いは、あまり考えられないことですので気を付けましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。トラブルは解体前、解体中、解体後とすべての場面で起こり得ます。ここでご紹介したトラブルを想定して業者と向き合うことができればトラブルを起こさない、もしくは、最小限にすることができるでしょう。