解体工事の契約書で確認するポイント11個とQ&A【完全版】

ノウハウ
解体工事の契約書

解体業者を選別するうえで契約書の内容を確認することは重要です。また、いざ契約する業者とのトラブルを回避するためにも重要です。

ここでは、契約書で確認するポイント11個と疑問に思うことをQ&A形式でまとめました。

監修者

丹野建設工業株式会社 代表取締役 丹野 亮

丹野 亮

丹野建設工業株式会社 代表取締役

これまで10年以上にわたり解体工事に携わってきました。 「早い・安い・キレイ」をモットーに、20代・30代の若い力で丁寧かつスピーディーな施工を行っています。 安全第一はもちろん、騒音・粉じん・振動などにも配慮し、近隣住民の方々へのご迷惑を最小限に抑える工事を心がけています。

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解体工事に係る契約書で確認するポイント11個

解体工事の契約書で確認するべき重要なポイント11個をご紹介します。

工事内容と範囲

解体する建物や範囲が具体的に書かれているか確認してください。

解体の対象物となる「建造物一式」ではなく、細かく示されていることを確認しましょう。例えば、土地を更地にする場合、「2階建て木造家屋」だけではなく、「カーポート」「生垣」「塀」などと更地にするための対象物全てが書かれていることが望ましいです。

契約書に記載されていることが全てですので、後で明記がなかったので撤去しなかったというトラブルを避けるためにも細かく明記されているかは重要です。

工事期間

工事期間の条項も確認しましょう。いつから工事が始まるのか、予定ではいつまでに工事が終わるのかを確認します。

期間の条項で需要なポイントは、工事期間が延長される場合についてです。大きくは3つのパターンがあります。

1つ目は、天災などによって工事を中断しなければならない場合があります。予定していた期間を超えそうな場合にどのように共有されるのかが明記されているかを確認します。

2つ目は、業者の都合による延期や中断の場合の対応を確認してください。「書面で説明すること」と「事前に協議を行うこと」が記載されているかを確認しましょう。

3つ目は、想定外の処理物が発見された場合です。地中を掘ると解体の範囲で示した物以外の処理物が出てきたときの対応を確認しましょう。この場合も「書面で説明すること」と「事前に協議を行うこと」が記載されているかを確認しましょう。勝手に処理されて後で追加費用を請求されることを防ぐためです。

延長以外で重要なポイントは、中断される場合、期間を短縮させたい場合について明記があるか確認しておきましょう。

工事費用

工事費用の条項では、総額だけではなく単価も確認しましょう。カーポートの撤去にはいくらかかるのか、建造物の平米数に対して単価がいくらかを確認します。植木の伐採や塀の解体についても細かく単価が明記されているかを確認しましょう。

複数の業者の単価を見比べて比較検討しましょう。

それ以外には、廃棄物処理費用も明記されているかも確認してください。別途請求されることを防ぐためにも確認してください。

追加費用

追加費用が発生する条件を確認してください。上述した指定された「工事内容と範囲」以外の処理物が工事中に発見された場合の対応です。

「書面で説明すること」と「事前に協議を行うこと」が明記されていることを確認しましょう。

よくあるケースとしては、地中に処理物が埋まっていたケースです。契約前に処理物の処理する単価を明記しておいてもらうことがトラブル回避のために役立ちます。

支払い条件

支払い日、支払い方法です。支払いは、前金はいくらなのか、いつまでに支払わなければならないのか、遅延した場合はどうなるのかなどを確認します。

解体工事は金額が大きいので資金の計画と照らし合わせて確認しておきましょう。

廃棄物の処理方法

廃棄物の処理方法が明記されているかも確認します。

収集運搬業者と処分業者がそれぞれどの業者か確認しましょう。適切に処理することが書かれていることを確認しておきましょう。

アスベスト調査・処理

2022年4月1日以降の解体工事においてアスベスト調査の結果報告が義務化されました。

自分でアスベストの専門家に依頼して自治体などへ調査結果を報告することもできますが、解体業者に有資格者がいる場合は、すべてひっくるめて依頼できます。

契約書には、アスベストの調査、自治体等へアスベスト調査結果を報告まで依頼できる場合は、そのことが明記されているかも確認しておきましょう。

調査結果の報告を怠っている場合に施主の責任も問われる可能性があるので必ず確認しておきましょう。

損害賠償責任・保証内容

損害賠償責任保険に加入しているかも重要です。

工事中の第三者とのトラブル、不可抗力によって近隣で事故が起きてしまった時の対応で「業者が賠償する」ことが明記されているかを確認してください。契約書の確認を怠ってしまうと施主が賠償すると書かれていることがありますので気を付けてください。

それ以外には、カーポート、塀だけの解体工事などを依頼した際に、家屋に傷が入った、ひびが入った場合などにどのような保証があるかも確認必須です。

近隣への配慮

契約書に近隣への配慮として騒音、振動、粉塵対策が明記されているか確認しましょう。近隣とのトラブルが発生すると損害賠償責任が明記されていたとしても、施主にとっても影響が出てしまいます。

どういった近隣への対策を行ってくれるか細かく明記しているかを確認してください。また、苦情が出たときの対応も確認しておくとなおいいでしょう。

天災または不可抗力による被害

不可抗力によって工事が中断、もしくは、中止せざるを得ない場合のことを明記しているかも確認しておきましょう。

主には、損害が出てしまった場合、契約不履行について、工期についての3点が明記されているかを確認しておきましょう。

万が一のことですが、定めておくことでトラブル回避につながります。

契約解除の条件

契約の途中解除の条件も重要です。業者都合、施主都合、両者から解除を申し入れられるようになっているか確認しておきましょう。

施主都合では、解体途中で解体する必要がなくなったり、解体の範囲を狭めたりする場合に、どのような条件で契約解除可能かを定める条項です。

施主からの契約の解除の申し入れの場合は、解約金を支払うことがほとんどです。業者が損害を被った分の費用負担などが含まれます。

業者都合の場合は、費用の返金や損害を被ったとして損害賠償を請求することが考えられます。業者都合での契約解除の明記も確認しておくことで、いざというときにスムーズに次の業者探しなどに移れるので、意外と重要な点です。

解体工事の契約に関するQ&A

次に、解体工事の契約で疑問に思うことを3つまとめました。

契約内容は交渉して変更できますか?

基本的に契約内容は、両者が協議して決定するものです。契約書を確認して、支払い方法を相談したり、明記されていないことがあって不安な場合は、しっかり明記してもらうことなどは可能です。

お互い納得して決定してから捺印して契約を締結するのが基本です。

見積もり書と契約書が違うことはありますか?

見積もり書と契約書が違うことはあります。見積もりはあくまでも概算見積もりです。契約書に書かれていることが正式な内容です。

業者によっては契約書の費用を変更したら見積もり書も変更して提出し直ししてくれるところもありますが、基本的には契約書の内容が全てです。

契約違反や履行されていないと感じたらどうすればいいですか?

契約違反や契約書に書かれていることが履行されていないと感じたらまずは直接業者に伝えましょう。

例えば、近隣への配慮が明記されている通りではなく、省かれていると感じた場合には直接伝えましょう。業者の反応次第でその後を考えてください。

あまりにも対応がひどく、契約不履行が目に付く場合は、証拠をとっておいて業者変更も視野に動くことを検討しましょう。

ただ、業者の契約不履行をもとに契約解除をして途中から業者変更には相当な労力と時間を要することだけは頭に入れておいてください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。契約書で確認するべき11個のポイントをお伝えしてきました。契約書はあくまでも契約前に確認する事項です。締結前の契約書に書かれていることが絶対ではありません。内容を交渉して変更することも可能です。

交渉した結果、お互い譲れない場合は、業者を変更することはできます。契約書の内容を比較検討して業者選びを行ってください。